やはり無添加住宅にしてよかったとあらためて思う毎日です。

無添加住宅ひいてはサカエホームプラスさんとの出会いのきっかけは、われわれの息子の誕生でした。私の父が孫の誕生をひどく喜び、「孫が日に日に成長して行く姿を間近でみていたいので吹上に戻るように」と言い出したのです。そこで問題となったのが、「家の状態」でした。実家の建物は私の両親が結婚した時に建てられたもので、その後に一度、増築しています。増築部分は私が小学生の頃のもので、そこだけでも、もうかれこれ三十年ほど経っています。私にとってみれば、生まれ育ってきた思い出のある家です。できれば建て替えなどはせずに済ませたいと思っていました。しかし、築三、四十年にしてフローリングのへこみや天井の脱落などの様々な問題が生じていて、結局建て替えるという結論になってしまいました。さしあたりネットで調べられるだけの情報を探しました。

当時、特に「ここで建てたい!」というような建築会社や工務店があったわけではありません。とりあえず、印象の良かったSDハウスやST林業あたりを考えておりました。そんなある時、妻が『無添加住宅!』という本を探し出してきたのです。

題名だけキャッチ―で目を引く本が最近多いので、半信半疑ながら読んでみると、「化学合成接着剤を使用した家の寿命は化学合成接着剤の寿命だ」と書かれており、実家の歩くと抜け落ちそうなフローリングの状態が腑に落ちました。それを妻に話すと、もともとシックハウス症候群に関心の強かった妻は、さっそく西宮にある無添加住宅の社員でsる東坊さんとメールのやりとりを始めました。一つ問題だったのは、埼玉に無添加住宅を請け負う工務店が数少なく、吹上近辺にはないということでした。そこでどうしようかと迷っているうちに、ちょっとした意見の食い違いから計画自体が白紙に戻ってしまったのです。

それから一年ほど経ったころ、ようやくそれぞれの意見がまとまり、先のメールのやりとりも復活しました。東坊さんからの提案で横浜の住宅展示場を訪れた際には、秋田社長とお話しすることもできました。必要なら社長ご自身で設計のたたき台を作ってくださるというお話までいただきました。その帰宅の際には、偶然にも西宮に帰る秋田社長と途中までご一緒することになり、そこで秋田社長ご自身の趣味や現在取り組んでいることなどのお話を伺うことができました。

特に印象深かったのは、「しっくい壁の家には有益菌が住み着くんです。だから昔からの蔵元はしっくい壁の建物なんです。」というお話でした。秋田社長と別れたあと、妻と話し合ってみるとやはり、もともと積極的であった妻も実際に展示住宅を見てさらに乗り気になっていました。秋田社長とお別れする前に「最近、埼玉の熊谷で無添加住宅を請け負ってくれる工務店ができました。私のほうから連絡しておきます。」というお話があったとおり、帰宅後数日してサカエホームプラスの長谷川さんから連絡をいただきました。考えてみれば一年前の計画が支障なく進められていたとすれば、サカエホームプラスさんとの出会いもありませんでした。遠い越谷の工務店に依頼するか、または無添加住宅そのものを計画から除外していたはずです。

秋田社長からたたき台の設計図が送られ、長谷川さんやK住建のHさんとの打ち合わせが始まりました。打合せは、不安な中にも「この次はどんなことが、どんな風に決まってゆくのだろう?」という期待と喜びのうちに進んでいきました。また、あえて言ってみれば「アクセルとブレーキ」のような、絶妙なお人柄の組み合わせの、長谷川さんとHさんにお会いすることも徐々に楽しくなってきました。そうした中で、間取を具体化させてゆくうちに、我々夫婦にも徐々に、それぞれに「こんな和室をつくりたい」「ウォークインクローゼットが欲しい」などといった小さな目標が出来てきました。またそれとともに、新築する上での問題点も次第に明らかになってきました。これらの希望や問題点を初めからすべて提示できればよかったのですが、気付くたびに長谷川さんやHさんに「実は・・・」と切り出すことになってしまいました。

そんな唐突で無理な注文にいつの、長谷川さんは「不安と好奇心の入り交じった顔」で、Hさんは「悟りを開いているのでびっくりしないけど、とりあえず驚いた顔をしてみるよという顔」で、お二人とも快く応じていただきました。特に印象深かったのは、妻が「お風呂から坪庭が見たい」と言い出した時のことです。もうほとんど間取が決まりかけた段階でしたので、この妻の要求には私も「ここまできて、やめてくれ~」と叫びたくなりました。そのために間取を一からやり直しとなってしまい、本当に申し訳ない気持ちになりました。最終的には古井戸との関係で、坪庭を作るという妻の野望(?)はかなえることは出来ませんでしたが、このときの間取の変更がきっかけで、結果としてすばらしい間取りとなったことで、お二人には本当に感謝しています。さらに古井戸から水が出、使えることもわかり、かつて市の水道に切り替えるまで20年ほど、大竹家を支えてきた井戸を、(飲料水としては無理だとしても)再び使えることがわかったことは存外の喜びでした。

最終的に図面が決定し、11月に入って地鎮祭が無事に終わった時、「長かった!やっとここまでたどり着いた!」との思いでいっぱいでした。我々夫婦にとっては間違いなく、最初で最後の経験です。「できれば完成度の高いものに」とは思うのですが、その一方で照明や配線、水道などといったことから、セキュリティーや将来のことを見越したこと、また、まるで思いもよらなかったことなど、様々なことを決めてゆかねばなりません。もちろん長谷川さんやHさんから、いくつもの有益なアドバイスをいただきましたが、選択して決定するのはもちろん我々です。何か一つ決めると違う箇所で問題が生じるといった「モグラの頭を一つ叩くと、違うモグラが出てくる」という繰り返しになってしまうこともしばしばでした。時には、「もぐらの頭を叩くと、三、四匹のモグラが一斉に顔を出す」というようなこともありました。忍耐力のあまりない私は、「あとは適当に住めるようにして下さい!」と口から出しそうになったことも、何度もありました。その度に、長谷川さんとHさんの笑顔と忍耐強さを前に、「こんなことではいけない」と我に返り、思いとどまりました。そういった点でも、お二方には本当に感謝しております。

そして12月の棟上げの時、徐々に立ち上がってくるのを見て、「これから新たな家が建ってゆくのだ」という喜びが実感をともなって感じられました、二階屋根に登った時の感動は、またひとしおでした。完成した家が頭の中に想像され、何か湧き上がってくるようなうれしさを感じました。

それから完成の5月までは、「新しい我が家に早く住みたい」と気がはやっている我々にとっては、なんとも長い月日でした。特に週末しか現場に行けない私には、月日が亀の歩みのように感じられ、長谷川さんやHさんのブログ上で我が家の進行状況を見ては「もうここまで来たか!」「まだここまでか!」などと一喜一憂する毎日でした。

そんな中、施工している大工さんの様子を見て、何度か普請を経験している父に「それぞれが自分のすることをわきまえている。いい大工さん達だ。」と言われた時には、何だか自分のことのようにうれしかったのを覚えています。

完成までには複数の提案を長谷川さんからいただきました。その中で特筆すべきは、なんといってもリビングのドアにはめ込まれているガラスです。当初いただいた提案はフュージングという、ガラスを重ね合わせて様々なモチーフを表現する技法で、比較的安価なものでしたが、ガラス作家の各務先生との打ち合わせで検討した結果、我々の希望を実現するためにはホットキャストという技法が最も適しているというお話しになりました。さしあたりお値段をお聞きしたところ、フュージングの数倍のお値段!であったので(あとになってお聞きしたところ、相当良心的なお値段ということでした)、数日間検討する時間をいただき、悩んだ末、今回で数回目の清水の舞台から飛び降りる覚悟をして、ガラス制作の依頼をしました。今現在、リビングのドアで悠然と青い海の中を泳ぐマンタの姿を見るたびに「依頼してよかったー!」と夫婦共々言っております。

完成の5月!完成見学会が開かれ、現場を訪れた我々夫婦の第一声は「すっごーい!」「(モデルハウスみたいで)自分の家じゃないみたいだね」でした。キッチンの天然石の大きなアイランド、浴室の一面すべてを飾るコーラルストーン、そしてM大工さんの力作である階段・階段下収納・手すり・書斎・の本棚など皆、思わず頬ずりしたくなるほどのすばらしい出来映えでした。

すでに入居して一ヶ月が経ちました。最初の一週間は、リビングのあまりの開放感ゆえに多少の落ち着きのなさがありましたが、今ではそれに慣れ、逆に非常に落ち着いた毎日を送っております。実際に生活してみてわかることは、無垢のフローリング、しっくい壁のすばらしさです。当然のことながら化学合成的なにおいは全くしませんし、何よりもしっくいの白や無垢の色合いが、とても落ち着いた気分にしてくれます。やはり無添加住宅にしてよかったとあらためて思う毎日です。

最後に、サカエホームプラス代表取締役の樋口さん、いつも打ち合わせの時に息子の面倒を見てくださった社員の皆様、長谷川さん、K住建のHさん、すばらしい職人技を見てせてくださったM大工さん、Y大工さん、S大工さん、とても感じのよいしっくい壁を仕上げてくださったO左官さん、建夫の戸絶妙にあう外構をつくって下さったR工業のM部長をはじめとする皆様、感動的なガラスをつくって下さった各務先生、旧実家の丸テーブルをちゃぶ台に再利用できるようにして下さったS建具さん、しっくい壁にとても良く合うカーテンを提案してくださったDハウスのOさん、その他、我が家の完成に携わって下さったすべての皆様に、心から感謝をお伝えするとともに、これからのご活躍をお祈り申し上げて締めくくりとしたいと思います。

本当にありがとうございました。

2010.7.18 施主O様より